投資を始めた頃の私は、株価の安い低位株を中心に選び、企業の業績や財務をほとんど調べていませんでした。そんな私が企業の姿勢に注目するきっかけになったのが、会社の先輩との会話から購入した株式会社長谷工コーポレーション(以下、長谷工)でした。
その先輩は仕事柄、経営者と接する機会が多く、経営の話と絡めて株式投資の話をよく聞かせてくれました。あるとき話題になったのが、経営不振に陥っていた長谷工です。社長自ら減給して再建への姿勢を示し、減資などを行いながら会社全体で立て直そうとしていると教えてもらいました。
私はその話にすっかり感化されました。自分で財務を詳しく調べたのかというと、実はほとんど調べていません。それでも、会社の本気度に加え、都市部のマンション需要はなくならず、古くなった建物の建て替えも増えるだろうと考えました。「ここまで本気で取り組む会社なら復活するのではないか」という、自分なりの仮説を立てて購入したのです。
最初の購入から約1年後に一度利益を確定しました。その後も一部売却や再購入、買い増しを重ねながら、長期にわたって保有してきました。リーマンショックのときにも含み益が残っていたことや、将来の需要を信じていたことが、持ち続けられた理由だと思います。
利益が出たときは、先輩が正しかったというより、自分で最終判断した結果が当たったことを素直に喜びました。もっとも、企業再建を見抜いた満足感より、正直なところ利益額の方がうれしかったです(笑)。大きな利益が出たお礼に、先輩へ一度夕食をごちそうしたことも、よい思い出として残っています。
投資を始めて6年目には、総資産が500万円に到達しました。100万円や200万円のときより、まとまった資産を築けた実感があったことを覚えています。長谷工などの利益も後押ししましたが、まだ主役は毎月の積み立てとボーナスによる入金でした。
この経験から学んだのは、身近な人の話が投資の視野を広げてくれること、そして、得た情報をどう受け止めて最終判断するかは自分自身だということです。また、企業はトップの姿勢によって変わる可能性があることも知りました。この経験は、現在の「企業の姿勢も投資判断の材料にする」という考え方につながっています。
次回は、株価の安さだけで選んでいた私が、少しずつPERやPBRを意識するようになった頃を振り返ります。
※本記事は、筆者自身の投資経験を記録したものであり、特定の金融商品や銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の状況を踏まえて行ってください。
