私が配当を強く意識するようになったのは、40代後半に差しかかり、金融資産が2,500万円に届こうとしていた頃でした。
それまでの私は、主に低PBRの銘柄へ投資し、長期的な値上がり益を狙っていました。
無配の銘柄ばかりを選んでいたわけではありませんが、配当利回りを重視していたわけでもありません。あくまで企業の価値に比べて株価が割安かどうかを考え、いつか市場から評価されることを期待する投資でした。
当時の私にとって、配当は投資の主役ではなく、株価が購入時の価格を下回ったときに持ち続けるための理由に近いものでした。
含み損になっても、数年間保有して配当を受け取れば、その損失の一部を補えるかもしれない。その程度の感覚だったと思います。
しかし、金融資産が大きくなり始めたことで、投資に対する考え方も少しずつ変わりました。
値上がりを待つだけではなく、保有している間にも安定して収入を生み出してくれる銘柄を増やしたいと考えるようになったのです。
そこで、安定した配当を続けている大型株や住宅設備関連の企業を購入し、その後REIT ETFにも投資対象を広げました。
もちろん、配当利回りが高いという理由だけで、すぐに購入したわけではありません。
業績やPBRを確認し、配当を無理なく続けられそうかを考えました。気になる銘柄を見つけてもすぐには買わず、しばらく株価を観察し、チャートを見ながら購入する時期を探りました。
幸い、これまでのところ、配当を目的に購入した銘柄で大きな失敗はしていません。
ただ、それは自分の銘柄選びが優れていたからとは限りません。市場全体が上昇する場面も多く、相場環境に助けられた部分も大きかったと思います。
配当を意識する前の年間配当は、10万円ほどでした。
それが30万円を超えた頃、初めて配当の存在を大きく感じるようになりました。
30万円という金額を見たとき、もう一人の私が働いて、ひと月分の給料を運んできてくれたような感覚を覚えました。
会社へ行き、毎日働いて得る給与とは別に、これまで積み上げてきた資産が収入を生み出してくれた。そのことが、単に口座の残高が増える以上に印象に残りました。
年間30万円を単純に12か月で割ると、月額では約2万5,000円になります。
毎月2万5,000円あれば、わが家の水道光熱費をおおむね賄えます。そう考えたことで、配当が生活と結びついた現実的な収入に見えるようになりました。
配当がさらに増えれば、水道光熱費だけでなく、携帯電話などの通信費も支えられます。その先には、住居費を含めた生活費の大部分を、資産が生み出す収入で賄える可能性もあります。
自分がその都度働かなくても、積み上げてきた資産が毎月の支出を一つずつ引き受けてくれる。
この考え方が、配当をもっと増やしていきたいと思う大きなきっかけになりました。
受け取った配当は、証券会社の口座へ直接振り込まれます。配当金だけを分けて管理しているわけではありませんが、その口座から別の銘柄を購入しているため、結果的に再投資している形になっています。
配当で新たな株を買い、その株からまた配当を受け取る。
まだ大きな金額ではなくても、この積み重ねが資産形成を支える力になることを、少しずつ実感するようになりました。
配当があることで、株価が下がったときにも保有を続けやすくなりました。
もちろん、配当が出ていれば株価の下落を気にしなくてよいわけではありません。業績が悪化すれば、減配や無配になる可能性もあります。
それでも、配当を受け取りながら回復を待てることは、私にとって長期保有を続けるための支えになっています。
以前は、株価がいくら上がったかを中心に見ていました。現在は、それに加えて、年間配当がどこまで増えたかも強く意識しています。
まずは年間100万円、その次は月額10万円に相当する年間120万円を目指しています。さらに先には年間200万円という目標があります。
年間200万円まで増えれば、生活費の大半を配当で賄えるようになります。まだ先の目標ですが、配当を積み上げることが、将来の働き方を自分で選べる余地につながると考えるようになりました。
配当を重視するようになって変わったのは、投資先だけではありません。
資産をいくら持っているかだけでなく、その資産が毎年どれだけの生活費を引き受けてくれるかを見るようになりました。
私にとって配当は、値下がりに耐えるためのおまけから、生活を支え、人生の選択肢を増やすための柱へと変わり始めています。
今回の格言
「人類最大の発明の一つは複利だ」
受け取った配当で新たな株を購入すれば、その株がまた次の配当を生み出してくれます。一回ごとの金額は小さくても、この繰り返しが将来の収入と人生の選択肢を少しずつ増やしていくのだと思います。
※本記事は、筆者自身の資産形成に関する経験や考えを記録したものであり、投資や特定の金融商品の購入を推奨・勧誘するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

コメント