資産が500万円を超え、銘柄選びにも少しずつ自分なりの基準ができてきた頃、大きな相場の下落を経験しました。
リーマンショックです。
当時、私は一つの銘柄に投資する金額を、最大30万円までと決めていました。
30万円といえば、一般的には給料の1か月分に近く、失えば相当なショックを受ける金額です。それでも、自分の資産全体から見れば1割にも満たないと考えることで、気持ちを保とうとしていました。
仮に一つの銘柄で投資額をすべて失っても、資産全体がなくなるわけではない。自分が気持ちのうえで耐えられる上限として決めたのが、30万円でした。
この基準があったことで、一つの企業に資金を集中させることは避けられました。しかし、リーマンショックでは市場全体が大きく下がり、複数の保有銘柄が一斉に値下がりしました。
約500万円あった資産は、一時は約250万円まで減りました。
長い時間をかけて積み上げてきた資産が、短期間で半分になる。その状況を目の前にして最も強く感じたのは、恐怖というより戸惑いでした。
売った方がよいのか、このまま持ち続けるべきなのか。それとも、安くなった今こそ買うべきなのか。ニュースを見ても悪い話ばかりで、何が正しいのか分かりませんでした。
結局、私は保有していた株のほとんどを売らず、そのまま持ち続けました。
将来を確信していたわけでも、冷静に底値を判断できていたわけでもありません。どうすればよいか分からず、大きく動けなかったという方が、当時の感覚に近いと思います。
株価が大きく下がったなかで、少額だけ買い増した銘柄もありました。ただ、積極的に買い向かうほどの自信はなく、投資との距離は次第に広がっていきました。
その後、結婚を機にプライベートが忙しくなりました。さらに、東日本大震災後の自粛ムードも重なり、投資に気持ちを向ける余裕がない時期が続きました。
取引から疎遠になった状態は、2013年頃まで続きました。
当時の記録を振り返ると、その間、投資資産はほとんど増えていませんでした。一方で貯金は続けていたため、2013年の終わりには総資産が1,000万円に到達しました。
その時点でも、投資資産は総資産の半分に届いていませんでした。数字からも、まだ投資に積極的になれずにいたことが分かります。
しかし今振り返ると、投資が止まりかけていた間も、資産形成そのものは止まっていませんでした。
相場の先行きが分からず、投資へ積極的にお金を回せなくても、貯金なら続けることができました。投資で増やせない時期にも、働いて得たお金を残すことで、資産の土台は少しずつ大きくなっていたのです。
暴落時に安く買い、その後の上昇で大きな利益を得たという話は魅力的に見えます。しかし、実際に資産が半分になる場面で、迷わず買い続けるのは簡単ではありません。
私も冷静に対応できたわけではありません。それでも、保有株をすべて手放すことはせず、投資から完全に退場することもありませんでした。そして、投資に前向きになれない時期には、貯金という別の形で資産形成を続けました。
先が見えないときには、無理に正解を当てようとしなくてもよいのかもしれません。
自分が耐えられる範囲で市場に残りながら、今できる方法で資産を積み上げる。リーマンショック後の数年間を振り返ると、それが結果として、次の一歩につながったのだと思います。
こうして市場に残りながら貯金を続けたことが、その後、家族の暮らしを支え、投資へ戻るための土台になっていきました。
今回の格言
「休むも相場」
当時の私は、冷静に判断して取引を休んだわけではありません。それでも無理に動かず、市場から完全に退場しなかったことが、次の一歩につながりました。
※本記事は、筆者自身の資産形成に関する経験や考えを記録したものであり、投資や特定の金融商品の購入を推奨・勧誘するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

